2024年7月23日(火)、SBC東京医療大学看護学科「医療安全支援論」講義で<医療従事者の安全を脅かすリスクと対策>の学習のためにVR教材を使用した演習授業を実施いただきました。
この演習で使用したVR(仮想現実)端末を使った「飛沫シミュレーション」は、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい始めた2020年に、医療現場に潜む感染リスクを可視化し感染予防へ動機づけを高める目的で、当協会の危機管理室(当時)が開発したものです。
このシミュレーションを使用することで、医療現場において飛沫感染リスクの高い、「鼻咽頭の検体採取」、「口腔ケア」、「気道吸引」それぞれのケアによる感染リスクを視覚的に確認することができます。
プログラム内容については感染管理認定看護師が監修しており、ケアに応じて必要な個人防護具(PPE)を選択し着脱順序等についても、このシミュレーションを通じて学ぶことができます。
授業の対象は3年生で、内容は「医療安全支援論」。
主な目的は、
・業務上の感染に対する予防策が理解できる
・感染経路別予防策が理解できる
ということです。
演習授業を実施するにあたり、事前にインストラクターとなる学生を募りレクチャーを行いました。
23日当日は大橋純江准教授によるVR演習の目的説明から始まり、操作を練習した学生がデモンストレーションを行いました。
その後5グループに分かれて演習となりました。学生は約80名。各グループのインストラクターが率先して操作を説明、実施していました。
学生たちは友人が操作している画面を見ながら、「こんなに飛沫を浴びるんだ」、「サージカルマスクじゃなくてN95の方がいいんじゃない」、「画面からはみ出した!」など、楽しそうに学んでいる様子がうかがえました。
一通り手技を行い、自分の姿を鏡に映すとどれだけ飛沫を浴びているか、思わぬ箇所にも飛沫を浴びている様子が見て取れます。
また、防護具の選択が正しかったか、着脱の順序が感染対策の観点から正しかったのかの結果が「○」「×」で表示されます。
多くの学生が医療現場での感染リスクについて、視覚的に理解できたのではないでしょうか。
演習後のアンケート回答には、
・VRを用いた授業は初めてだったが、暴露予防の必要性が理解しやすかった。
・暴露予防のためのPPEが重要で、適切な着脱は重要だと思った。
・2つのコンテンツの暴露のイメージが認識と全く違っていたので驚いた。
・実際に目に見えないリアルな暴露の状況を表してくれているので危険性が理解できた。
・講義授業と違って実際にシミュレーションできたことで理解が深まった。
等の回答が寄せられたそうです。
大橋准教授からは、「この学年は夏休み明け9月から来年2月まで長期領域別実習が続くので、その事前演習として大いに効果が期待できる」と本シミュレーションの有効性を評価いただきました。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に移行した今こそ、基礎的な感染知識を身につける必要性を感じています。これから看護実習に臨む学生の皆さん等に是非ご活用いただきたいと考えています。本シミュレーションにご興味のある方は公益社団法人東京都看護協会までお問合せください。
[飛沫感染VR]
演習に使用したい等、詳細は相談の上貸し出しいたします。
○お問合せ
公益社団法人東京都看護協会
事業部危機管理課 kikikanri@tna.or.jp
[取材協力]