彼女から教えてもらった「年を取るために必要なこと」

 10年ほど前に、ジャケットの袖丈のお直しを依頼したことがきっかけで、服のリフォーム・仕立てを職業とする女性と知り合った。

 彼女はリフォームだけでなく、洋服の仕立てや、着物を洋服にリメイクすることを手掛けているため、全国から依頼が殺到している。

 私は服のリフォームだけでなく、祖母や母の着物や帯をスカートやコーにリメイク、デザイン画を描いて生地を持ち込みスーツやブラウスへの新着仕立てをお願いし、いずれも予想以上の仕上がりである。

 彼女の腕は魔法使いだと思っている。

 先日、服の仮縫いの時、彼女の生き方を垣間見た。彼女は、「年を取ると、若い人に仕事を任せるので時間ができる。時間ができると食べてしまう。その結果動かないで食べるので太ってしまう。自分はそのような生き方は好まないし、いつまでもきれいでいたい。できるだけ長く働いて、自分の体に時間とお金をかけたい。」と言う。

 同感である。年をとれば食べる量は必然的に減少するので、たくさん食べると消化器や循環器に影響する。好きな服を着ることができるのは、スタイルを保ち格好よく立ち振る舞いができるからであるし、自分に似合う服を選ぶことができるのは、自分と世の中の流行を知っていることである。

 つまり、年を取る程、適切な食事と運動だけでなく、自己洞察・自己認識や社会性が必要ということだろう。

 彼女は私と同じ年代であるが、いつも自分でデザインして仕立てたセンスの良い服を着用し、スマートでスタイルが良く、ミシンを使う背中もシャキッと伸びて格好が良い。

 私は彼女の魔法の腕だけではなく、生き方も大好きで、彼女の店に通っている。

東京都看護協会 佐川きよみ