酒と紫煙の日々

 1年半にも及ぶコロナ禍ですっかり「皆で飲む」というこれまで当たり前だった習慣がなくなりました。サラリーマンになって40年、まさかこういう時代が来るとは全く思いもよりませんでした。

 社会人となってまず驚いたのが酒宴の多さでした。ことあるごとに飲み会が設定され、仕事の打ち上げ、残業時、出張時、失敗時、成功時、いつでもどこでも「皆で飲む」。ほとんど毎日部下を飲みに誘う課長が上司の時は、課長が帰るまで帰れず仕方なく残業していた、なんてこともありました。

 これと並行してすごかったのが喫煙です。若い方はご存じないと思いますが男性の8割が喫煙し、「今日も元気だ、たばこがうまい」が当時専売公社のキャッチフレーズ。朝、駅で待つとき、大勢が吸うので線路は吸い殻で真っ白。職場へ着くとまず一服、会議で一服、昼食後一服、チェーンスモーカも山ほどいましたから、紫煙で職場は年中視界不良という状況です。すべての職場の壁がタールとニコチンでべっとりと茶色く変色しています。終業後の飲み会で酒が入るといよいよペースアップ、普段の倍の本数を吸う状況に。帰宅後は匂いが髪の毛や衣服に染みついてさすがに気持ちが悪く、毎日風呂は欠かせません。といいつつ風呂上りに一服、寝る前に一服。宇崎竜童の「スモーキングブギ」の歌詞そのままの生活で何ら問題あるとは露程も思っていませんでした。

 今、酒宴も煙草もない真っ白でクリーンな生活を過ごす日々をむかえることができ本当に感謝しています。

 

 「酒とバラの日々」という名画があります。アカデミー賞を受賞したヘンリーマンシーニの有名な主題歌に合わせて、酒におぼれ、出会いと破滅を描いた傑作です。昔見たときはこんな飲んだくれた怠惰な生活ぶりを見て、酒や煙草に嫌悪感を抱いたものですが、なんか懐かしいですよね、今となっては。

事務局長 黒川 亨