ボクシングの効能

 8年前、企画する部署に異動になった。毎日毎日企画の提案をすることに思考力が疲弊していた私は、ボクシングを始めることにした。
 初めてリングに上がる時、トレーナーから「相手はあなたに打ち返してこないから、どれだけ打ち込んでもいいよ。」と言われたので、リング上の相手にボディー、ジャブ、フックを必死で打ち込んだ。しかし、全く当たらない。
 リング降りて、走ってトレーナーのところに行き「どうしたら当たるのか?」と尋ねると、「それはね、フットワークだよ、佐川さん。」と言われた。「なるほど、フットワークか。」と納得した。
 しばらく経って、リング上で ディフェンス(防御)の練習をすることにした。うまくかわしたつもりがボディーブローをもらった上に、相手から「あんた初心者だろう。」と笑われてしまった。
 またリングを降りて走ってトレーナーのところに行き「どうしたら避(よ)けられるのか?」と尋ねると、「それはね、観察だよ、佐川さん。」と言われた。
 「フットワークと観察?それって保健師の仕事にも必要なことだわ。」と仕事との共通点を見いだせた。
 水泳やマッスルトレーニングをしている最中でも、仕事のことが頭から離れなかったが、ボクシングをしている時はスパーリング等の3分間は、他のことを考えることができない。
 仕事のことを考えない時間は、頭の中の水がいっぱい入ったコップの水を半分にしてくれたようだ。その結果、新しい企画ができるようになった。
 ボクシングはうまくならないが、私にとってはこころに大変良い効果があるようで、今も続いている。

事業部 佐川きよみ