「信は力なり」

昨朝、NHK連続テレビ小説『エール』を見ていた。「紺碧の空」歌の歌詞が映っている。

「~早稲田 早稲田 覇者 覇者 早稲田~」。この歌がスタンドから聞こえてくると、自分たちは少なくともピンチであり、その後「ワセダ」に圧倒されることが多かった。

このコラムをどう書こうかと悩んでいたが、そうだ、「ワセダ」のことを書こう。

私はラグビー経験者であるので、一番影響を受けた早稲田大学の大西鐵之祐先生をご紹介したい。

大西鐵之祐 先生。早稲田大ラグビー、そして日本ラグビーの礎を築いた人物である。

大西先生から学ぶことはあまりにも多いが、「緊急事態」にどう対処するか、こう述べておられる。

「戦争での緊急事態。戦争に行ったら、すぐわかる。士官学校を出た商売軍人は、平静は威張っておる。で、戦地へ行き、そこでもえらい威張りよる。ところが、いっぺん戦闘がバーンと起こって、弾がポンポンポンと飛んできたら、腰を抜かしやがってワーワー言ってる。そういう商売軍人は、緊急事態が起こった場合、それに対する心構えとか行動というのはなんにもできてない。よくあることだ。」

しかし、スポーツのなかでは緊急事態に似たような状況が繰り返し起きる。なので、スポーツは緊急事態に陥ったときにどういう心構えでいるか、を身につけることができる。スポーツは人生を左右する重要な行動である。

スポーツをするなかで、真剣勝負に臨み、難敵をやっつけるための方法を追求、必要な技術を身につける。その繰り返しによって「ピンチとチャンス」という緊急事態に際して「どうするかということ」を学ぶ。だが、「戦法に絶対はない。だが絶対を信じないものは敗北する。」。

今、コロナ禍の緊急事態である。今こそ、我々一人ひとりがコロナに打ち勝つと、「絶対」を信じる、信じ続けることが大事だと私は思う。

ラグビーワールドカップ2019の日本代表・アイルランド代表戦の前日、早稲田大学ラグビー部出身のコーチは、日本代表に、雪のアルプス山脈で起きたハンガリー軍の遭難事故のエピソードを話したという。ハンガリー軍が1人の隊員の地図を頼りに下山に成功したが、その地図はアルプス山脈ではなくピレネー山脈の地図だったという実話のエピソードである。

地図を戦略に置き換え、大切なことは(事前に用意した戦略に固執せず)自分たちが目で見て判断して、それを信じることが重要だという戦いに挑む心構えを説いたそうだ。

翌日、日本代表はアイルランド代表に勝った。大金星だ!

ここにも、大西先生の魂と理論は受け継がれている。信は力なり。

総務課長 仲宗根 洋

<主要参考文献>

大西鐵之祐『大西鐵之祐ノート 荒ぶる魂 早稲田ラグビーの神髄』講談社2004年

藤島大『知と熱 日本ラグビーの変革者・大西鐵之祐』文藝春秋 2001年