第49回 2017年10月30日 『登山とリスクマネジメント・クライシスマネジメント』

平成29年10月30日
東京都看護協会会計係 成田

神楽坂の近辺には「フランス坂」「袖摺坂」「幽霊坂」などたくさんの坂道があります。私は坂を登っているときのアキレス腱が伸びる感覚が好きなのですが、近辺では「逢坂」という坂がとくに急で、それを実感できるのでお気に入りです。神楽坂からこんにちは_10月30日①.jpg

登り坂好きが高じて・・・というわけではないのですが、登山が趣味で、特に穂高岳や槍ヶ岳のある北アルプスによく登ります。
登山は、街の坂道と違って、命に関わる事故のリスクが高くなりますから、医療現場同様、「リスクマネジメント」が重要です。
例えば3,000メートル級の高山では、自力での下山が困難と判断されれば、ヘリコプターによる搬送が必要になり、その費用は高額になり、山岳保険への加入がリスクマネジメントの手法のひとつになります。
「リスクマネジメント」を「これから起きる?危険を予測し、事前に対応しておく」という広義で捉えた場合、登山では、保険加入の他に「技術と体力に見合った山行」「登山届の提出」「適切な装備」「事前の健康管理・トレーニング」さらには「観天望気や救急の知識習得」などの手法があげられます。

対して、実際に事故が起きてしまった場合の危機管理「クライシスマネジメント」は、近隣の山小屋や山岳警備隊等にレスキューを要請すること、山岳診療所・救護所が開設されている山では、医師や看護師のお世話になることが最善の手段です。しかし、山では救助隊が到着するまでに相当の時間を要する場合が多く、救護を待つ間、自分たちでできること(ファーストエイド)をしなければなりません。私は事務職ですので、できることは「プロの救助者に引き渡すまでに、状態の悪化を防ぎ、現状を維持する作業」です(と、講習で教わりました)。
例えば、携帯しているキットで、止血をしたり、虫刺されの毒を抜く等の応急対応はできると思います。そのときに一番大事なのは「セルフレスキュー・ファースト」、つまり「何よりもまず自らの安全確保を第一に考える」ということです(と、教わりました)。 
岩場では、救助者が滑落や落石に巻きこまれる可能性があります。どこまでが限界か、冷静に危険性を見極める判断力こそが重要になります。

神楽坂からこんにちは_10月30日②.jpg私はこの夏、北アルプスの薬師岳から笠ヶ岳まで縦走したときのこと、不覚にも浮き石でバランスを崩して捻挫をしてしまいました。三日目の終わりの事故で、疲れがピークに達していたときであり、いつもより長い行程だったのに、自分の体力を過信し、休憩なしに長時間歩き続けたことに起因していたと大いに反省しました。
幸い、山小屋の同じ部屋に、偶然、看護師さんがいて湿布やテーピングをしてくれました。神楽坂からこんにちは_10月30日③.jpg
職場を離れてプライベートの時間にさえも、ケガ人に即応してくださり、とても感謝しましたし、安心しました。医療従事者としての職業倫理の高さに敬服したものです。
今回は、大きな事故につながらずに済みましたが、今後はこれまで以上に自分自身の適切なリスクマネジメントを心がけなくてはいけないと思ったでき事でした。

皆様もぜひ、できる範囲で色々なことに挑戦してみてはいかがでしょうか!!

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