第37回 2017年8月7日 『八重岳の桜』

沖縄観光の人気定番スポットと言えば「沖縄美ら海水族館」ですね。
この美ら海水族館がある沖縄県本部町が、私の故郷です。
本部町には美ら海水族館の他にもたくさんの観光名所がありますが、今回のコラムでは、本部町の八重岳の桜をご紹介します。

沖縄の桜は本州で一般的なソメイヨシノではなく「カンヒザクラ(寒緋桜)」と呼ばれ、濃いピンク色の花が特徴です。カンヒザクラ(寒緋桜)は、沖縄本島北部から開花が進むので、本島北部にある本部町の八重岳の桜が「日本一早咲きの桜」と紹介されています。八重岳では、1月下旬から2月上旬にかけ、約7,000 本の桜が一斉に開花します。その眺めは本当に綺麗ですね。

この八重岳、今は桜の名所として知られていますが、72年前は沖縄陸軍病院名護分院(八重岳野戦病院)があり、昭和20年4月、八重岳でも、米軍と日本軍の戦闘がありました。この戦闘での八重岳野戦病院は、「重傷者は取り残され、まるで地獄のようだった」(本部町立博物館・図書館 ホームページ)と伝えられています。この戦闘により「軍人、軍属を含む町民1,753人の尊い生命が失われた(本部町教育委員会)」そうです。
そして、この戦闘には、沖縄県立第三高等女学校の15歳から19歳の生徒たち(なごらん学徒隊)が、看護活動にあたるため、八重岳野戦病院に10名動員され、1名が戦死しているそうです。これらのことは、看護協会の職員として、忘れてはならない悲しい歴史です。

昭和38年、八重岳にあった米軍基地の一部が本部町に返還される際、当時の渡久地政仁本部町長は、「戦争で犠牲になった人々の慰霊と、これから育っていく子どもたちの将来への希望を込めた桜並木になるように」と考え、琉米親善委員会から得た補助金で、八重岳の沿道に桜並木を植えたそうです。

現在、当協会では、新会館建設事業を進めています。恐縮ではございますが、私も「これから看護職になっていく方々の将来への希望を込めて」新会館建設事業に携わってまいりたいと考えております。今後とも何とぞよろしくお願いします。


平成29年8月7日
公益社団法人 東京都看護協会
総務課長 仲宗根  洋

<参考文献等(本文に記載したものは除く)>
「桜日和」島袋貞三(琉球新報 2012年2月18日)
「戦場に動員された21校の学徒隊」(沖縄県子ども生活福祉部 平和擁護・男女参画課)
「ニッポンを解剖する!沖縄図鑑」編集室りっか(JTBパブリッシング 2016年)
「レキオ 島唄アッチャー」(ブログ 2012年2月18日)

(追伸)
実は、当時の本部町長 渡久地政仁は私の祖父です。生前、祖父から、八重岳であった戦闘については聞いたことがありませんでした。次、八重岳に行くときは、このような先人の方々の筆舌に尽くし難い苦しみ、努力、希望に思いをはせて、桜を眺めようと思っております。


神楽坂ウィークリー8月7日号①.jpg 神楽坂ウィークリー8月7日号②.jpg

「出典:本部町企画政策課」

 

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